5大国際ブランドは昔の話?クレジットカードシェア最新動向
クレジットカードには必ず何かしらが付与されているロゴを「国際ブランド」と呼びます。「国際ブランド」とは、世界中で決済ネットワークを提供している企業(ブランド)のことです。たとえば、VISAやMastercard、日本発のJCB、富裕層向けのサービスイメージが強いAmerican ExpressやDiners Clubなどが代表的です。国際ブランドごとに利用できる加盟店の数や年会費体系、付帯サービスの特色などが異なります。
この国際ブランド、「世界5大ブランド」と思っていませんか?自身もご多分にもれずそう思い込んでいました。しかし、状況は少しずつ変わっているようです。
この記事では、クレジットカードの国際ブランドについて情報を整理します。そして、国際ブランドのマーケットシェアを2020年のデータを引用して整理します。
(データは2020年ですが、内容は2025年の状況も踏まえて一部修正しています。)
この記事の要旨
- クレジットカードの国際ブランドは、世界7大ブランドと数える(2022年現在)
- VisaとMastercardが圧倒的に強い(2020年データより)
- 国際ブランドの大部分はアメリカ発症。日本発のJCBも応援しよう
クレジットカードにおける国際ブランドとは
世界中で利用できるクレジットカードのブランドを意味しています。これらブランドマーク、よく見かけますよね?
これらロゴ6個に加えて、Discover と呼ばれるアメリカ発の国際ブランドを含め7大国際ブランド と呼ぶのが最近の事情のようですね。なお2022年1月現在、Discover は日本国内では発行できないようです。
国際ブランド | 読み方 | 発祥国 |
---|---|---|
VISA | ビザ | アメリカ |
Mastercard | マスターカード | アメリカ |
JCB | ジェーシービー | 日本 |
American Express | アメリカンエキスプレス | アメリカ |
Diners Club | ダイナースクラブ | アメリカ |
銀聯 / Union Pay | ギンレン | 中国 |
Discover | ディスカバー | アメリカ |
ブランド | 主な特徴 | 国内加盟店数 | 海外加盟店数 | ステータスイメージ | 代表的な発行会社例 | 提供会社の国名 |
---|---|---|---|---|---|---|
VISA | 世界No.1シェア。海外での利用◎ | 多い | 非常に多い | 一般的 | 三井住友カード、楽天カードなど | アメリカ |
Mastercard | VISAに次ぐ世界的シェア。海外利用◎ | 多い | 非常に多い | 一般的 | 楽天カード、ライフカード等 | アメリカ |
JCB | 日本発ブランド。国内利用に強み | とても多い | やや少なめ | 一般~プレミアム | JCBカード、セブンカード等 | 日本 |
American Express | ステータス感が高い高級路線 | 多いが一部店舗不可 | 多い | プレミアム | マリオットボンヴォイアメックスカード、その他アメックス直接発行等 | アメリカ |
Diners Club | 富裕層向けの高ステータス | 少なめ | 多い | プレミアム | 三井住友トラストクラブ発行等 | アメリカ |
銀聯 (UnionPay) | 中国で高いシェア、急速に普及中 | 観光地中心に増加 | 中国圏中心 | 一般的 | 中国系金融機関 | 中国 |
アメリカが強すぎますね。そんな中、我らが日本発祥のJCBカード。日本経済のために是非とも奮闘いただきたいところです。
日常生活でのクレジットカードの呼び方
一方で、日常生活でクレジットカードを選ぶときには「楽天カード」とか「三井住友カード」というように無数にあるカード名称を用いることが多いですね。これらは、カード発行会社(イシュア)が提供しているクレジットカードの名称です。カード発行会社ごとに様々な差別化が行われているわけですね。
難しい言葉を覚える必要は全くありませんが、構造的にはこのようになっています。
- 国際ブランド
- アクワイアラ
- イシュア
クレジットカードの基本的な役割
クレジットカードを選ぶときに皆さんは何を重視するでしょうか?クレジットカードの役割といえば以下のようなものがあります。(1)還元率と(2)付帯サービスの2点を吟味することが重要です。
- 決済機能
- クレジットカードとしての本質。当たり前
- カードの種類によってカードの利用限度額は様々
- いずれにせよ、今その場に手持ちの現金がなくてもカードひとつで買い物ができるという点では同じ
- どの国際ブランドを選ぶかは、たまに影響する場面があります。例えば、「JCBカードしか持っていないけど、このお店はVISAカードかMasterカードのみしか使えなかった」といったシーン。とはいっても、現代はなかなか見かけないですよね
- 自動付帯保険
- 保険料を特別に支払わなくても補償が受けられる保険
- 還元率
- クレジットカードを選ぶ上での重要ポイントその1
- 自分のライフスタイル(よく使うお店とか、お金の使い所の特徴など)によって考え方が大きく変わる部分です。自分と相性のよいカードを選びましょう
- クレジットカード発行者特有のサービス
- クレジットカードを選ぶ上での重要ポイントその2
- これも還元率と同じくらい重要です。例えば、飛行機に全く乗らないのに「飛行機登場時の優先搭乗サービス」があっても嬉しくないですよね
- その逆に、飛行機にたくさん乗る人にとっては見た目以上に恩恵を受けられることになります
- AMEXのような T&Eカード(トラベル&エンターテインメントカード)は、特にこのような付帯サービスでの非日常の体験がウリ
データから見る国際ブランドの状況(エリア別)
アメリカ、アジア、ヨーロッパそれぞれの国際ブランドのシェアを示すデータがありました。
以下のデータは全て Nilson Report から引用しています。
- Card and Mobile Payment Industry Statistics | Nilson Report Archive of Charts & Graphs
- https://nilsonreport.com/publication_chart_and_graphs_archive.php
世界エリア別の国際ブランドシェアの傾向ポイント
- アメリカではVisaのシェアが52%、続いてMastercard で22%
- アジアでは UnionPay が 72%
- 中国の人口が多すぎるので、アシアというエリアで見るとそりゃそうなるかという印象
- 日本国内に限定すればもう少しJCBの割合が高くなりそうな印象
- 続いてVisa、Masterが続くのはアメリカと同様だが、JCBも2%で僅かに奮闘
- ヨーロッパ圏では Visa 58%でトップなのは同様だが、Mastercardが 41%もシェアがある
- 「ヨーロッパではMastercardが強い」と言われていたのは今でもそう言えそうですが、それ以上に「ヨーロッパでもVisaさえあればだいたいOK」と言えそうですね
中国をどのように数えるかによって見え方が大きく変わってしまいますが、全てまとめて見るとVisa、Mastercard、UnionPay の3社で96%にも達してしまいます。
Card and Mobile Payment Industry Statistics | Nilson Report Archive of Charts & Graphs
世界規模のシェア
2020年時点での世界シェアを見てみると、VISAとMastercardの2大ブランドが大半を占めていました。具体的には、発行枚数・取扱高ともに50%以上が両ブランドで占められているとの報告もあります。その後もキャッシュレス化の進展に伴い、世界規模でこの2強のシェアは拡大傾向にあります。
日本国内のシェア
日本では、VISA・Mastercard・JCBの3ブランドが大きな存在感を持ちます。特にJCBは日本発の国際ブランドということもあり、国内ではギリギリ踏ん張っているものの、加盟店にとっての決済手数料が高い傾向にあるなどジリ貧の戦いが続いているように見えます。特にインターネット上での購入をするときにJCBカードだけが使えない場面に遭遇したことがある方もいるのではないでしょうか?これ、手数料が高いからなんです。販売しているお店にとっては利益が減ってしまうんですよね。
また、近年は海外旅行需要の増加やオンラインショッピングの拡大に伴って、VISAやMastercardの利便性を求める利用者が増えています。
ブランドを見極めるポイント
海外利用時に気をつけたいポイント
海外旅行や出張でクレジットカードを利用する際は、現地通貨での支払いやATMでのキャッシング対応など、ブランドごとに使い勝手が異なります。アジア圏ではJCBやUnionPayに対応した店舗が多い一方、欧米や豪州ではVISA・Mastercardのほうが使いやすいケースが目立ちます。旅行先で困らないよう、複数ブランドのカードを持って行くのも一つの手です。
セキュリティと付帯保険の違い
国際ブランドの違いよりは、どのカード発行会社(イシュア)が発行するかに左右される部分も多いですが、一般的にアメリカン・エキスプレスやダイナースクラブは旅行傷害保険や空港ラウンジの利用特典が手厚い傾向にあります。一方、VISAやMastercardもゴールドカード以上のグレードで同様の特典が用意されていることが多いです。
2025年現在の注目トレンド
- キャッシュレス化の加速: 国内外問わず、タッチ決済やモバイル決済(スマホウォレット)の普及が進行中。
- QRコード決済や電子マネーとの競合: クレジットカード以外の決済手段が増え、ユーザーの決済手段はより多様化。
- サブスク・オンラインサービスの定着: ネット決済のメイン手段としてクレジットカードが利用される機会が引き続き増加。
これらのトレンドを踏まえると、今後は国際ブランド間の競争激化だけでなく、異業種との競合も一層進んでいくと考えられます。
日本の生活ではどのカードがお勧めか?
クレジットカードを選ぶ際、あなたは何を重視しますか?海外での使いやすさ?それとも、日本企業を応援したいという気持ち?多くの場合は、実益のあるポイント還元率でしょうか。
クレジットカードの選び方において、決してやるべきことではない唯一のこと・・・それは、大量保有によるポイントの分散です。
徹底的に効率重視をしたくなる人ほど、場面ごとに使い分けて複数のカードに分散しがちですよね。そしてポイントが管理できずに、いつの間にか期限を迎えて失効してしまう・・・それはあまりにも無意味です。
よほどのポイントマニアでない限りは、80点を狙える位置づけのカードに集中してしまう方がいいですね。
過去、クレジットカード掲示板に張り付いて情報収集をしていた私は、今は各ブランド1枚ずつ保有しています。
- メインカード: JCB(ORIGINALシリーズ)
- サブカード: VISA(三井住友 NL)
- サブサブカード: MASTER(楽天カード) ・・・・楽天市場・楽天ふるさと納税専用
なぜこの3種類なのか?これらクレジットカードをどのような考えで選定し、どのように浸かっているのか、この記事で考え方を説明しています。興味のある方はご覧になってくださいね。
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日本を応援したいなら「JCB」
日本生まれのクレジットカードブランド「JCB」は、日本の企業や地域経済を支える強い味方です。がんばれ日本!という気持ちを込めて、現在の私のメインカードです(一応)。
けどね、正直、JCBカードは痒いところに手が届かないんですよ。
体感ですが95%の場面では問題なく使えています。たまに問題になるのが、海外の決済サイト(オンラインショッピング等)で利用するときにJCBが使えないことがありますね。
以前、ディズニーランドのクラブ33に入れる特典のある JCB THE CLASS を取得したかったこともあり、一時期は精力的に利用していました。
現在は、QUICPay のおかげで何とかギリギリ生命線を保てているところかな・・・という感じです。今後もっと盛り返してくれるといいのですが。
世界での利用を考えるなら「VISA」
正直ダントツです。これだけあれば困らないでしょって感じですよね。
JCBが使えない場合のサブカードとして、三井住友カードVISA(NL)を利用しています。
コンビニ払いの時にはNLでタッチ決済をすると還元率が最大7%還元なので、とても無難に優秀だと思います。
2024/08/31現在のサイト情報を引用: https://www.smbc-card.com/nyukai/merit/proper_p5.jsp
まとめ
クレジットカードの国際ブランドとは何なのか、そして世界のエリア別(アメリカ、ヨーロッパ、アジアパシフィック)それぞれのシェア、および全世界のシェアについてデータを引用して整理しました。
世界No1シェアはVisaカードであり、日本国内で生活する上でもVisaカードが1枚さえあれば高確率で困ることありませんよね。あとは保険用のサブカードとして異なる国際ブランドを1枚用意しておけば完璧でしょう。
個人的には、せっかく日本発の国際ブランドであるJCBカードも応援したいところですが、JCBそのものにやる気があるのか、いち消費者の立場からするとイマイチ見えてきませんね。普及率を挙げるならば手数料がVisaやMastercardと比べて高いようなので、加盟店側としては「だったらVisa、Mastercardでいいじゃん」となってしまいますよね・・・。 (2024/08更新: このような経緯はありましたが、JCBの手数料が下げられ、料率の点では見劣りしなくなりました。2023年4月に多くの業者が一律で手数料を下げていますね。)
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